アクト・アゲインスト・エイズ(AAA)運営事務局の
「ぷらすのチカラ」
アクト・アゲインスト・エイズ×いろはのデザイン
〈AAA運営事務局は2020年7月20日をもって閉局しました〉アクト・アゲインスト・エイズの存在を知ったのは私が以前のデザインプロダクションに勤務していた頃、2009年にさかのぼる。ある方からご紹介を受け、教育機関に無料で配布されるHIVエイズの啓発ポスターのデザインの依頼を受けさせていただいたのがきっかけだ。それ以来、毎年のようにこのお仕事をさせていただくようになった。毎年数多くのアーティストや音楽業界の関係者がこの活動を支援されており、ひとりでも多くの人にHIVエイズのことを知ってもらうための活動をおこなっている。今回、私も微力ながらこの取材を通して少しでも多くの人にアクト・アゲインスト・エイズのこと、エイズのことを知ってもらいたいと思っている。
アクト・アゲインスト・エイズ(AAA)とは
1993年よりメディアやエンターテインメントに関わる幅広い方々より支援されている、エイズの知識啓発を中心とした活動。「エイズには知るワクチン」というキャッチコピーとともに、AAAコンサートや教育機関・保健所等への啓発素材の無料配布などを行い、一人でも多くの方にエイズへの関心をもっていただくための活動を展開している。
HIVエイズ啓発活動を迎えて感じる伝え続けることのチカラ
この活動は、当時アメリカ等世界各地で起こっていたエイズに対するイベントを発起人が見て、日本でもやらなければ、と立ち上がったことがきっかけです。また、数年後には独裁国家だったルーマニアでHIVに感染した孤児達がひどい状況にいるという話を伺い、聞いたからには少しでも助けられればと支援も始めました。
孤児を助けるためには、まず支援金が必要ですので、当時、渋谷パルコ横にあった駐車場や、恵比寿ガーデンプレイス様よりご協力いただき、そこでフリーマーケットを開催しました。音楽関係各社に出展していただき、運営では学生のボランティアの方々にもたくさんご協力をいただいきました。そこではアーティストの方々の私物をオークションにかけたりして集まった収益金をルーマニアの孤児達が生きてくれるために役立ててもらってきました。生き抜いた彼らは成人し、最近は就職や結婚の報告までしてきてくれています。小さな、小さなみなさんの気持ちや思いがひとつになり、人と人との繋がりがここまで大きくなって、深く、広くその思いが刻まれて今があるのではないかと思っています。
※HIVエイズ啓発活動が当初開催していたフリーマッケット(恵比寿ガーデンプレイス)
ビジネスではない、ヒトとヒトとのつながり
この活動をスタートした1993年には、SNSやメールなどは今ほど普及していませんでした。だから私たちの活動は発足当時から「草の根活動」なんです。この活動はビジネスではありません。だからこそ、私たちからお願いする方々へ、いつもきちんと会ってお話しをして、気持ちを伝え、何をやっているのかを理解していただくことがとっても大切なことだと感じています。そんな理解を示してご協力をいただいた皆様がまた人を呼び、ヒトとヒトとがつながって膨らんでいきました。もちろん、当時からご協力いただいた学生さんや若い皆様とも今でもつながっているんですよ。活動開始以来ご支援続けて下さっている運営会員社様も、もちろんたくさんいらっしゃいます。そんな皆様のおかげで、この啓発活動が続けられていると思っています。
継続はチカラなり〜「草の根活動」としてのぷらすのチカラ
この活動をはじめた当初、10年後には終わっているだろう(つまり、啓発する必要がないくらいエイズもなくなっていて、世の中にエイズの知識が浸透している)というのが私たちの考え方であり理想形でした。ですが現実、今でも世界規模でエイズという病気は蔓延していますし、国内を見渡せば、HIV感染者やエイズ患者は毎年増え続けており、多くの方にHIV/エイズの正しい知識をもっともっと知っていただく必要があります。今では私たちの作ったエイズ啓発用のパンフレットやポスターが官公庁でも使っていただけるところまで広がりました。今までご協力いただいたたくさんの皆様へ感謝の気持ちを忘れずに、これからもこの「草の根活動」をひとつひとつ積み重ねていければと思っております。