yukishirushi 0° 石井幸代さんの「ぷらすのチカラ」
石井幸代 × いろはのデザイン
2024年初春くらいからだろうか。地元習志野市の袖ヶ浦団地ショッピングセンター内にテナント工事をしている店舗があった。気になっていつも通りかかる時に見ていると、かき氷屋さんがオープンするチラシが貼られていた。プレオープンに伺った際に、爽やかな柑橘のシロップと氷の相性が素晴らしく、その感想を話したのがオーナーの石井さん。かき氷が繋いだ素敵なこ゚縁から、いろはぷらすにご賛同いただき、今回の掲載に至った。
きっかけは思わぬところから
もともと私は建築や店舗設計の仕事をしていますが、私の友人で(香川県高松市にある「ひだまり不動産」に勤務)浅草にあるかき氷専門店「ひみつ堂」さんのかき氷を食べた時、大変感動したそうです。友人はこんなかき氷屋さんが地元にもあったらいいな。という思いから、地元にかき氷屋を作りました。シロップも一から企画、製造。これも周りにいるつながりで実現しているんですよ。現在は川崎の宮前区鷺沼にもお店を出店しているのですが、私はその時のお店の設計などをお手伝いしました。
私は以前から、いつかは建築以外の仕事をしたいと思っていました。そんな思いを抱きながら、2024年に60歳を迎えたタイミングで空き物件を物色して思いをカタチにしようと考えました。。見つけた物件が今の場所だったのです。ひだまり不動産の仲間にも情報や場所の写真など提供しながら相談して、とてもいいんじゃない。とお墨付きをいただきました。URさんにすぐに連絡し、内見もせずに即決の契約をしました。決まるときはトントン拍子に決まっちゃうものですよね。
場所は決まりましたが、ここで何をやるかは決めていませんでした。以前から美容関連の仕事にも興味があったので、美容関連のテナントを集めたビルを運営したり。そんな思いもあったのですが、ある時、友人が私と一緒に契約した現場をみながら、「かき氷屋をやるんでしょ?」と背中を押されたような感じに。その後あれよあれよとその方向に進んでいったのですよ。笑 これが私のかき氷屋スタートの始まりでした。
仲間に背中を押され、助けられ
まだかき氷屋をやるという覚悟がないまま、私の気持ちとは裏腹に、半ば強引な流れでかき氷屋開店へ一気に進んでいきました。かき氷屋で実績を持つひだまり不動産、そして私の友人がグイグイと開店までのプロセスを引っ張ってくれました。自家製シロップを供給してもらうことも決まり、いきなり冷蔵庫を購入してほしいとか。笑 いろいろ驚かされたり、あれこれリクエストもありましたが、ノウハウを持つ仲間がいたことには大変ありがたかったです。
人と繋がっている分野の仕事
個人的にはかき氷はあまり好きではありません。いずれ建築以外で別の仕事をしたいと考えていた時も、もし飲食関連をしても自分がかき氷屋をやるとは考えたことはありませんでした。ですが、いざ開店へ向けて仲間と動き始めると、今の建築にも通じる部分はたくさんあるなと感じました。人が暮らしていく上で欠かせない「衣食住」。分野はちがいますが、建築もかき氷も人としっかり繋がっている分野であることは間違いありません。実際にオープンしてそれを肌で感じています。本業の仕事がもう少し落ち着けば、飲食の仕事にもより一層やりがいを感じるだろうなと思っています。
SNSのパワー
オープンは2024年6月。まさに夏の暑さが始まると同時のスタートでした。本来はのんびりとスローペースで慣れていくつもりだったのですが、SNSのパワーはすごいですね。千葉のお店を紹介するインフルエンサーさんや、当店のSNSで一気に拡散。7~8月の酷暑とともに、繁忙期を一気に駆け抜けた感じです。
千葉のお店らしさを
お客さまがどんどん来ていただいて嬉しい反面、かき氷のメインになるシロップも、店舗オリジナルのシロップを作りたいなと考えるようになりました。そもそも器も含め、「千葉県」にはこだわって店舗づくりをしていたので、シロップも千葉限定のものがいくつかあっていいかなとは思っていました。何度も試作を重ねたり、素材と氷の相性など、本業の建築の仕事もありますので大変な労力を使いましたが、自信をもってご提供できるシロップができたと思います。そしてこれはまだまだゴールはありません。時間の合間には、どうしてもかき氷のシロップやトッピングのことを考えてしまいますよね。笑
きづきは宝物
かき氷屋は気温で来店客が極端に変動します。少しでも気温が低いと来店客が減少しますし、少し気温が上がっただけで一気にお客様が増えます。また、この場所特有の傾向だと思いますが、曜日にもかなり来店数が増減します。スタッフの氷削りスキルのより一層の向上や、シフトや運営を工夫し営業日を増やしたり、次夏の繁忙期に向けて仕組みを精査しています。この経験は次夏に活きると思います。それから、これは意外ですが「ゆず」を(フルーツとして)食べる習慣が関東の文化にはあまりないことに驚きでした。柑橘系のシロップをメニューに掲載するときは1~2種に限定したり、メニュー構成にも工夫が必要なのだなと感じました。実際にお店を運営してみないとわからないことは、私にとって一番の宝物です。
食で地域とつながる「ぷらすのチカラ」
夏はもちろん、年間を通して yukishirushi 0° でおいしく楽しんでいただけるよう、秋~春へのメニューとしてもいろいろとオリジナルのメニューを考えています。グラタンや北海道の郷土料理、そしてよつ葉乳業のソフトクリーム。地域の皆さまに、私の出身である北海道の素材を使ったメニューや、千葉の地元地域で収穫した素材でオリジナルメニューを食べていただきたいです。
また、2025年にはセントラルキッチンをyukishirushi 0° の真向かいに予定しています。軽食のメニューを充実したり、お弁当やテイクアウト、この袖ヶ浦団地はご高齢者も多いので、作りたての手作りの味を皆さんに食べていただき、yukishirushi 0°を 知ってもらいながら、地域のみなさんとつながって、そして自分自身も楽しんでいきたいなと思っています。
【編集後記】
お忙しい中、お時間をいただき快く取材に応じてくださった石井さん。さまざまなご経験と人脈、人との繋がり方など、まさに石井さんの人徳でオープンされたyukishirushi 0°。このネーミングも、北海道出身の石井さんが、北海道といえば「雪印」。はじめはyukijirushi 0°で進めるつもりが、あまりにも本家の雪印さん似すぎてしまい、誤解を生じる恐れもあるので、ご自身の「石井幸代(ishii yukiyo)」にあやかり、yukishirushi 0° にしたとか。ユニークさとアイデア、今の時代の流行りなどを敏感にキャッチし店舗やメニューに活かしているところは本当にリスペクトに値する。今まで培ったご経験、人脈、そしてもちろんご自身のたゆまぬ努力がなし得た財産なのであろう。そして何より、自分自身が楽しむ。これを忘れない石井さんの今後の活躍を陰ながら応援していきたい。
【関連リンク】
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