PeCoまんまぁる・こどもカフェ柏井 高尾晃子さんの「ぷらすのチカラ」
高尾晃子 × いろはのデザイン
いろはぷらすにご賛同いただいている軒先珈琲の佐藤紘孝さんからのご紹介。NPO法人化の際にロゴ制作のご依頼をいただいた。その時にいろいろとお話を伺うと、「キャンナス」という地域看護の活動やこどもカフェ柏井の活動を通じ、困っている人に寄り添いながら地域のために活動したいという思いが伝わってきた。今回、いろはぷらすのコンセプトにご賛同いただき、さらに深く地域や人への思いを伺うことができた。
今の仕事を始めたきっかけ
もともと看護師をしながら、子どもたちのために寺子屋や学びの教室を開催していました。私自身が働きながら子育てするのが大変だったので、他のお母さんたちが少しでも楽をしてもらい子どもたちに学びや経験の場があるといいなと思い始めたのがきっかけです。子どもたちと社会科見学に行ったり、週末には縁日をしたり、夜の勉強会のような、預かりを兼ねた学習塾の活動もしておりました。
チラシ1枚から繋がった不思議な縁
その後、引越で環境が変わり、これからどうしようかな。と思っていたところに、子どもが引越先の近所で空き家のリノベを活用したボランティアを募集しているチラシを持ってきたのです。その内容がこちらの子どもカフェやフリースクールの内容で、地域活性に取り組む佐藤さんに出会い、現在に至っています。今考えると本当に不思議なご縁だなと感じています。
地域に広がってほしい!「キャンナス」
千葉県にはキャンナスが9ヶ所あります。(2024年2月時点)ただ、この近隣には少なく、各地区のキャンナスとの連携が薄いです。そのため、花見川地区にある当キャンナスでは、花見川以外にも千葉市、八千代市、佐倉市など、私たちが行ける範囲は多少遠くても訪問してします。ですのでもっとキャンナスが地域に浸透し、各地域で成り手が増え、各地区のキャンナスが連携して情報交換ができるようになればいいなと思っています。
キャンナスを地域に広げていくために
また、緊急性を有する依頼も少なくありません。時間帯で言うと特に朝と夕方の依頼が多く、キャンナスのサポートスタッフは、子育てをしたり、別の仕事をしながら活動しているので朝夕は限られたスタッフしか動けない。と言うのが現状なのです。スタッフの人員も増やしていくことはもちろんですが、時間をどう有効に使っていくか。というところが今後の課題になってくると思います。
そのためには、まず「キャンナス」を世の中にもっと知ってもらわないといけないと思います。世の中、地域の周知はとても大切で、キャンナスにお願いすれば困っている人が少しでも助かる。逆に、困っている人を助けたい、なんとかしたいと思っている人にも、キャンナスの存在を知ってもらうことは私たちと連携できるきっかけにもなると思います。世の中の周知は地域ぐるみで活動する原動力になるはずです。
キャンナスで働くメリット
キャンナスで働くスタッフは、元看護師や、看護師経験の方も比較的多いですが、看護経験がなければキャンナスになれないという訳ではありません。自分の空いた時間を活かしながら働くことができます。また、本格的な看護の仕事に復帰する前に、キャンナスで少しずつ体力や感覚を慣らしていって、看護師に復帰した方もいます。時間に縛られることなく、自分がこれから何をしたいかを見つけられるのがキャンナスで働くメリットなのかなと思います。
そして何よりもキャンナスはボランティアの側面があり、皆さんにすごく感謝されます。キャンナスは訪問看護と違い、あらかじめ契約して訪問するだけではなく、他で断られたり、緊急性の高い突発的なことにも対応しています。本当に困っている人のところへ行く。だからすごく感謝され、癒されることも多いのです。
これから看護関連の仕事を目指したり、看護の仕事へ復帰されたい方や、ボランティアに興味のある方、人との繋がりを感じる仕事がしたいと思っている方は、キャンナスの仕事できっとやりがいを感じると思います。
ここで、高尾さんがもう一つメインで活動をしている「こどもカフェ柏井」についての話を伺った。
こどもカフェ柏井
千葉市のこどもの居場所づくり応援事業の「どこでもこどもカフェ」と一緒に柏井地区で活動しています。こどもカフェ柏井を始めた時は2~3人しか子どもが集まらなかったのですが、現在では20人以上集まるようになりました。柏井こども食堂も30~40食出る時もありますので、かなり賑やかな居場所になりました。
「こども食堂」のイメージを変えたい!
世の中のイメージとして、こどもカフェやこども食堂って、「貧しい子が行くところだから、ご飯が食べられる子は行ったらダメなんだ。」と考える方もいらっしゃいます。もちろん、考え方は様々ですし、間違いではないです。ただ、スタッフ側からすれば、決してそのようなことはないんですね。
こどもカフェ柏井ではどんなお子さまでもこの場に遊びに来て欲しいですし、実際そうなっています。貧しい子がくる場所…ではなく、どんな生活環境の子どもでも集まり、楽しんで、みんなでご飯が食べられる場所。お友だちと笑顔で楽しく食事ができることが1回増える。そんな居場所になればいいなと考えています。
あとは働くお父さんやお母さんが1食分、食事の負担が減りますよね。私自身が子育てしながら仕事をしていて感じることですので、親御さんたちもきっと同じ境遇なのではと思います。1食分でも楽になればなぁ。という思いで取り組んでいます。
食のありがたさと大切さを学びとして
柏井こども食堂では学校ではなかなか教えてくれないこと、いわゆる「食育」も大切にしています。
こどもたちと一緒に料理をしたり、自分で選んだ食材で食事をするって、実はこどもにとってとても嬉しいことなのです。食事ができることは、自然の恵みと、たくさんの人の努力があって成り立っていることを五感で体感しながら学んでほしいなと思っています。
今後は地域の方々にこどもカフェ柏井のあり方を理解していただくとともに、近隣の農家さんとも繋がっていきたいと考えています。こどもたちが農家さんのお手伝いをしたり、市場に出せない野菜などを買い取らせていただき柏井こども食堂の食材にしたり、それぞれがwin-winになるような繋がりができれば理想的ですよね。地域の活性にも繋がっていくのではと考えています。
NPO法人化され、今後取り組んでいきたいこと
佐藤さんとも一緒に考えていますが、中間支援施設のような、こうしたこどもの居場所を作りたい人もいらっしゃると思いますし、そのモデルケースになっていけたらいいですよね。同じような活動をする人を増やして、取り組む側も連携し、活動できる地域を少しづつ広げていくことが法人化した意義なのではと思います。
PeCoまんまぁるが考える「人が住みやすい地域社会づくり」
独り暮らしの方でも、なんとかやっている人って、大概はご近所さんや地域の人に支えられているんですね。キャンナスの活動をしていて実感していることですが、私にとっては、それは地域のコミュニティがうまくいっているバロメーターのようにも見えるのです。逆に、地域によってこの温度差があることも実感しています。
人が人に対して興味を持つ。こどもに対して温かい目で見守れる、支え合える。そんな思いやりを持てる人が増えていけば、もっと住みやすく居心地の良い地域や社会がつくれるのではと感じています。キャンナスやこどもカフェ柏井を通じて、ゆくゆくはそう思える人を作っていき、増やしていく。そして、この場所から地域全体に「思いやりのある街づくり」の考えが増えていって欲しいと願っています。
【編集後記】
毎日を忙しく活動している高尾さん。話を聞けば聞くほどご自身の休みがないというのが頷ける。現状の課題点や改善点にしっかりと向き合いながら日々のキャンナスやこどもカフェ柏井の事業を行い自ら思いやりをもってたくさんの人を支えている活動には尊敬に値する。こどもカフェ柏井のSNSをみた見知らぬ人が子どもたちに食べさせてと食材を送ってくることもあるのだとか。人を支えられる人は必ず人からも愛される。きっと高尾さんの周りから「思いやりのある街づくり」がこれから少しずつ広がっていくだろう。そんな高尾さんを、いろはぷらすでも微力ながら応援していきたい。
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