地域団体“MAP” 代表 西村桂子さんの「ぷらすのチカラ」
西村桂子 × いろはのデザイン
地元習志野市の香澄地区で「自宅を利用してマルシェを開催している人がいる」というウワサを聞いたのが西村さんと出会うきっかけだった。その後、袖ヶ浦団地のコミュニティスペース“Join Spot 袖ヶ浦”(2023.4閉館)で初めてお会いすることができた。いろいろと話しを伺うと、子どもや環境、地域振興のために全力で活動されている西村さん。その意味ある活動を“いろはぷらす”で記事として発信させていただきたいという思いにご賛同いただき、今回に至った。(取材日:2023年4月)
子どもと環境問題を考えるきっかけ
私は2020年の春まで、国際交流支援関連の仕事をしておりました。ですが新型コロナウイルスの影響で外国人が一切入って来られなくなったんですね。当時、世の中の動きもほぼ止まってしまって、このまま何もできないのはもったいないと思う毎日が続きました。そこで、自分に向いているいい仕事と感じながらも国際交流支援の仕事から離れ、別のことをしようという決心をしました。
その頃、次女が大学の教育学部に入学しました。次女と教育の話をすることが多くなり、子どもの教育や子育て、また環境問題などを軸に、なにか地元地域に恩返しできることができないかな。と考えるようになりました。
まずはできることから
まずは学童保育(学校の帰りに子どもたちが集まる場所)で働くところから始まりました。そこでの気づきは、「今の子どもたちはいろいろな問題や課題があるなぁ。」ということでした。また、他の施設はどんな状況なんだろう?と感じ、“放課後等デイサービス”という、障がいを持つお子さんが集まる場所でも働き始めました。
子どもたちだけの場所づくり
子どもたちと直に接する場所で働くことで、昔なら当たり前のようにできた子どもたちの遊びや場所が制限されてしまったり、必ず大人(親)の目がどこかにある、いわゆる子どもたちだけで過ごす時間が少なくなっていると感じました。理由は色々と考えられます。例えば、親御さんが子どもに対する関わり方が今と昔では大きく変化したこともその理由の一つだと感じています。
そこで、できる限り大人が干渉しない、子どもたちが自由に遊べる場所を作ってあげたいと思いました。それが現在の活動の軸になっている「プレーパーク」です。
このプレーパークでは、無料で誰でも参加でき、子どもは子どもたちの責任で遊びを楽しんだり、自分のやりたいことを見つけたり、何かに挑戦したりすることができる自由な場所なんです。もちろん大人も入ることができますが、子どもたちをそっと見守るような気持ちで皆さんにはお願いしております。
実はこのプレーパークは私の娘たちも主軸となって活動をしております。子どもが両親ではない、第三者の人、(お姉さんたち)と知らない子どもたちが一緒になって安心して遊べる場所でもあるのです。さらに子どもたち同士のコミュニケーションの育成の場所としても役立っています。
屋内でも活動はできる!
同様の考え方は、何も外でなくてもできちゃうんですよね。そう思って企画したのが袖ヶ浦団地のコミュニティスペース“Join Spot 袖ヶ浦”(2023.4閉館)で行っていた「放課後ジョインスポット」でした。ここでは、私がイメージしている「放課後」を作りたいな。と思って企画し、延べ470人以上の皆さんにご参加いただきました。
プレーパークも放課後ジョインスポットも、大人たちは気配をなるべく消しながら。笑 時には子どもたちのケンカを遠くでそっと見守っていたり…なんてこともしばしばです。
地域の子育て支援団体と一緒に
プレーパークや放課後ジョインスポットを開催するにあたり、地域の子育て支援団体さんにも伺い、活動の理念や目的をお話させていただき、多くのご協力、ご賛同をいただくことができました。これは私にとって貴重な財産になりました。習志野では、子ども食堂や、秋津地区、谷津地区でも子育て支援活動が行われてます。私自身もお手伝いさせていただいたり、逆にプレーパークにお手伝いに来ていただいたり。人のつながりの大切さを肌で感じられる瞬間です。
子どもの不登校とこれからやるべきこと
そんなつながりが増えてくると、皆共通して課題としているのが「子どもの不登校」という問題でした。不登校で悩んでいる子ども、親御さんは想像以上に多いです。私自身もこれには非常に驚きました。子どもは自分の「居場所」を見つけるために大変なんですよね。その居場所が見つからない、居場所がない子が不登校になる。そういった苦しんでいる子どもや親御さんのために「居場所」を見える化できるようなマップを作りたいと考えています。
習志野にある子育て支援団体や施設、寺子屋、学童保育など、どこに何があるのかが一目で分かるような地域のマップです。マップを作ることで、不登校に悩んでいるご家族はもちろんですが、各施設や支援団体もつなぎ、子育て支援団体のネットワークとして、皆でこの問題に取り組んでいきたいです。
ママ友と楽しく!香澄マルシェ
子どもたちのことを考えることも大切だけど、私自身も今の暮らし、生き方を楽しまなきゃ。と思って始めたのが香澄マルシェです。近所の主婦友3人でスタートして、場所は友人宅のガレージを使っています。ゆる〜く、美味しいコーヒーを振る舞いながら…。という気持ちで始めましたが、今ではお客さんで来てくださった方が出店者になったり。実は私もこんなスキルを持っています!という地域の方がなんと多いことか!香澄マルシェでは「モノを売る」だけでなく、そのような地域の人たちのスキルをお披露目するような場でありたいとも感じています。定期的に行っているので運営面など大変なこともありますが、香澄マルシェで出会う人たちは素敵な方ばかりです。続けることの大切さを教えられますね。
私の「ぷらすのチカラ」
この数年でやってきたことが、私にとってはすべてプラスになっています。新しいことを始めるのは大変なのですが、それはすべてプラスでしかありません。たくさんの方に支えられ、ご協力いただきながら皆さんと一緒に挑戦し、地域が少しでも住み良い街となり、そして私自身も楽しい人生にする。これが私が思う「ぷらすのチカラ」なのだと思っています。
【編集後記】
お会いするたびに笑顔を絶やさない西村さん。現在成長した娘さんたちの子育てが大好きだったという。子どもや子育てが大好きだからこそできる、西村さんにしかできない活動なのだと感じた。母の背中をみて成長した娘さんたちは今ではプレーパークを主軸として運営し、活動資金も出資しているという。家族が母を支え、そして地域でたくさんの人が西村さんを支援している。お金では決して手に入れることができない「人の輪」を大切に育み、そして何よりも、今を楽しみながら「自分らしく生きる」西村さん。いろはぷらすでは、これからも微力ながら西村さんの活動を応援していきたいと感じた取材であった。
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